カシコン銀行リサーチセンターは、タイ中央銀行が10月28日の金融政策委員会で政策金利を現行の1%に維持するとの見通しを示した。20日付のタイ・メディアが報じた。同センターは第4四半期(10〜12月)にかけてインフレ率が再び上昇に向かう可能性があるとして、物価動向を注視する姿勢を示している。
タイの政策金利は主要国と比べても低い水準にあり、中央銀行は景気を支えるために緩和的な姿勢を維持してきた。一方で、燃料価格の上昇や洪水被害からの復興需要などが物価を押し上げる要因になり得るとして、年末にかけての金利判断に市場の注目が集まっている。
タイ株式市場の地合い
タイの株式市場では、銀行株の決算が相次いで発表されており、TTBやKTCなど複数の銀行が増益を確保するなど、総じて堅調な決算内容が伝えられている。金利が低水準で維持される観測は、住宅ローンや消費者金融を手掛ける金融株にとって追い風となりやすい一方、銀行の利ざやには中立的な要因となる。
日本の個人投資家への視点
タイ株に投資する日本の個人投資家にとって、政策金利の方向性は為替(バーツ円)とタイ株式の両方に影響する重要な指標だ。金利が低いまま維持されれば、タイ国内の消費や企業の資金調達コストには支えになりやすいが、バーツの金利妙味という点では見劣りする面もある。今後発表される消費者物価指数など経済指標と合わせて確認しておきたい。
タイ中央銀行はこれまでも、国内景気の下支えを重視して緩和的な金利政策を続けてきた経緯がある。今回カシコン銀行が示した「金利維持」の見通しは市場の事前予想とも概ね一致しており、サプライズとなる可能性は低いとみられている。むしろ市場の関心は、年明け以降にインフレ率がどの程度まで上昇するか、その場合に中央銀行がいつ利上げに動くかという点に移っている。
タイの銀行株は、今回決算が発表されたTTBやKTCのように不良債権(NPL)比率の改善を伴う増益を確保する企業が目立ち、金融セクター全体としては落ち着いた運営が続いている。今後発表される10月28日の金融政策委員会の結果と、年末にかけての消費動向次第で、タイ株式市場全体の地合いが左右されることになりそうだ。