タイ政界の風雲児、タクシン・チナワット元首相(76歳)が2026年5月11日、仮釈放によって「自由の身」となることが正式に確定した。しかしその出所劇は一筋縄ではいかない。焦点は「電子監視ブレスレット(EMアンクルブレスレット)」を本当に装着するのか否か——家族と弁護団が徹底抗戦を展開している。
「2度目の帰還劇」がついに完結へ
タクシン氏は2023年8月、約15年ぶりに帰国した直後に収監された。しかし高齢・健康上の理由から警察病院への移送が続き、実質的な刑務所生活は極めて短かった。2026年4月末、タイ矯正局は「刑期の3分の2を服役した」として仮釈放を承認。5月11日が正式な釈放日として指定されている。
仮釈放の条件として矯正局が提示したのが、電子監視ブレスレットの装着だ。釈放後も行動が監視され、指定エリア外への移動には事前許可が必要となる仕組みだ。
「70歳以上・持病あり」の免除条項を狙う弁護団
これに対し、タクシン氏の家族と弁護団が即座に動いた。タイの法律では「70歳以上の高齢者で基礎疾患がある場合、電子監視が実用的でない可能性がある」という例外規定が存在する。弁護団はこの条項を根拠に、ブレスレット装着の免除を申請している。タイラット紙の報道では「70歳超を理由に装着免除できる」という解釈も示されており、当局内でも意見が分かれているもようだ。
仮釈放後の保護観察は4カ月間
5月11日以降、タクシン氏はバンコク市内の自宅で残り4ヶ月の保護観察期間を過ごすことになる。観察期間中は定期的な担当官への報告義務があり、法律違反があれば仮釈放取り消しとなる。政界では「ブレスレットなしで釈放されれば実質フリーパスも同然」との見方もある。2月の総選挙でブームジャイタイ党が圧勝し、タクシン系のプアタイ党は3位にとどまったが、タクシン氏の政治的影響力は依然として健在とされ、今後の動向が注目される。