
一度自由化した大麻を、タイは再び囲い込む。7月31日、タイ伝統医療・代替医療局が「大麻規制法案(大麻管理法)」の骨子を公表した。原則はきわめて明快だ――大麻は医療、タイ伝統医療、研究、健康目的のためだけに使う。娯楽目的は認めない。
なぜ今、専用法なのか
タイは2022年に大麻を麻薬指定リストから外し、事実上の自由化に踏み切った。だがその後、大麻を包括的に規律する専門法が存在しないまま、複数の既存法令を継ぎ接ぎして運用する状態が続いた。所管も権限もバラバラで、規制の穴が生じていた。
テーワン・ターニーラット副局長は、この法案が「栽培から製造、輸入、輸出、販売、そして国民の保護と社会的影響の予防まで」を一貫して規律するものだと説明する。
法案の6本柱
1. 国家委員会の設置:保健相を委員長、タイ伝統医療・代替医療局長を委員兼事務局長とし、国としての政策と規制方針を決定する。
2. 許可制の導入:栽培・製造・輸出入・販売には同局長の許可が必要となり、許可の有効期間は3年。ただし根、枝、茎、葉、種子の販売は許可不要とされ、医療従事者による治療目的の使用も除外される。
3. 未成年と脆弱層の保護:20歳未満、妊婦、授乳中の女性への販売を禁止。寺院、教育機関、寮、公園、動物園、遊園地といった場所での販売も禁じる。
4. 広告とマーケティングの全面禁止:花穂、樹脂、喫煙器具に関する広告・宣伝・マーケティングを禁止する。
5. 医療目的への限定:大麻および抽出物の使用は、医療従事者の管理下での治療、または法定の研究に限定される。
6. 罰則の明確化:無許可での製造・輸出入・販売、未成年や妊婦への販売には懲役と罰金が科される。目的外使用者には罰金が科される。
観光地の「大麻ショップ」はどうなるか
この法案が成立すれば、バンコクのカオサン通りやプーケット、パタヤに乱立した大麻ショップの多くは業態転換を迫られる。看板やSNSでの宣伝も広告禁止条項に抵触する可能性が高い。
タイを訪れる日本人旅行者にとっては、注意点が明確になる。日本の大麻取締法は国外での使用にも及ぶ「国外犯処罰」の対象を含み、タイで合法だったから問題ない、という理屈は通用しない。今回の規制強化で、タイ側でも「知らずに買った」が通らなくなる。
自由化から4年。タイは実験の結論を出そうとしている。