タイ政府が検討している出国税(1回1000バーツ(約4700円)、上限5000バーツ(約2万3500円))の導入案に対し、タイホテル協会やタイ旅行業協会(ATTA)などの観光関連団体が相次いで反対を表明した。バンコクから出国する日本人を含む外国人旅行者の負担が増える可能性があり、導入の是非が議論になっている。
既存の負担と合わせて1人2570バーツ(約1万2080円)に
タイホテル協会によると、2026年6月20日から既に空港利用料(旅客サービス料)が1120バーツ(約5260円)に上昇済みで、さらに準備段階の外国人観光客向け手数料450バーツ(約2120円)と、今回検討中の出国税1000バーツ(約4700円)が重なると、外国人旅行者1人・1回の渡航あたりの負担は合計2570バーツ(約1万2080円)に達するという。4人家族であれば1万280バーツ(約4万8300円)の追加負担になる計算だ。THAはこれを「三重の負担」と表現し、渡航コストの急激な上昇に懸念を示している。
業界団体「競争力を損なう」
タイホテル協会は、近隣の観光地と比べてタイの渡航コストが割高になり、競争力を損なうと主張している。タイ人の海外渡航需要が落ち込めば航空会社が路線の減便や新規就航を延期する可能性があり、結果的に日本など海外から訪れる旅行者の選択肢が減り、運賃が上がる懸念もあるとしている。ATTAも財務省に対し、出国税案の撤回を求める要望を出した。両団体は、経済の不確実性や移動コストの上昇が続く中で観光業はまだ回復途上にあり、特に近距離市場や予算の限られた旅行者の渡航判断に影響しかねないとも指摘している。
検討中の段階、重複課税への指摘も
ただし出国税・新手数料とも現時点ではいずれも検討中の提案であり、すでに徴収が始まっているわけではない。業界団体は影響評価と税収見込みの公開、対象範囲や税率の見直しを求めている。タイの一部政府関係者からも、既存の旅客サービス料と新たな手数料・出国税が事実上重複しているのではないかとの疑問が出ており、制度設計の見直しを求める声が与党内からも上がっているとされる。
日本にも「国際観光旅客税」(通称・出国税)として1回1000円の制度があるが、タイの案はこれに加えて空港利用料や新手数料が重なる点が異なる。日本からタイへの旅行を予定している場合、出国時に追加費用が発生する可能性があることを念頭に、最新の制度決定を確認しておきたい。現時点では法案は審議段階であり、実際の施行日や対象範囲は今後の発表を待つ必要がある。
タイへの旅行を計画する際は、航空券や宿泊費に加えてこうした諸費用の動向もチェックポイントの一つになりそうだ。今後、財務省や観光スポーツ省からの正式な発表があれば、具体的な金額や施行時期がより明確になる見通しだ。