
バンコクの王宮前から、アユタヤ県の工芸センターまでを無料で結ぶシャトルバスが走っている。タイ観光庁(TAT)が打ち出した新しい観光ルート「コーカート芸術の島、サイアムの大地」で、2026年12月26日まで、毎週水曜から日曜の週5日運行される。
王宮前を11時に出発、90分でアユタヤへ
出発地は、バンコクの王宮前を走るラチャダムヌン通り沿いの広場である。バスは午前11時に出発し、午後12時30分にアユタヤ県バンパイン郡コーカート地区の工芸センターへ到着する。
復路はコーカート工芸センターを午後3時30分に出発し、バンコクへは午後4時30分から5時ごろに戻る。滞在時間はおよそ3時間で、見学と食事にちょうど収まる設計だ。料金は完全に無料。各便の定員は50人で、事前登録が必要となる。
訪問先は工芸センターと「王国の芸術」博物館
目的地であるコーカート工芸センターは、タイの伝統工芸の技術を保存・継承するための施設として整備された。敷地内には、タイの古典仮面劇コーンについて学べる「コーン学習館」と、「王国の芸術博物館(Art of the Kingdom Museum)」がある。
展示されているのは、金銀細工、刺繍、木彫、ニエロ細工など、王室が支援してきた工芸の作品群である。工房で職人が実際に作業する様子を見られる場面もあり、写真や映像では伝わらない手仕事の細かさを間近で確認できる。
8月12日のシリキット王太后誕生日にちなんで
このルートが設定された背景には、8月12日のシリキット王太后の誕生日がある。王太后が長年取り組んできた、タイの伝統工芸の保護と農村の職人育成という活動を顕彰する狙いが込められている。TATは「芸術と伝統工芸を通じてタイの優雅さを発信する」ことをルートのコンセプトに掲げている。
アユタヤはバンコクから北へ約70キロ。世界遺産の遺跡群を目当てに訪れる日本人旅行者が多い土地だが、今回のルートは遺跡ではなく工芸に焦点を当てている点が特徴だ。
日本人旅行者にとっての使い勝手
バンコク側の出発地が王宮前であるため、ワット・プラケオやワット・ポーを午前中に見て回る予定とは組み合わせにくい。むしろ、前日までに王宮周辺を見終えたうえで、翌日をこのルートに充てる形が現実的だろう。
無料である以上、定員50人はすぐに埋まる可能性が高い。参加を検討する場合は、公式サイト(artofthekingdomfreebus.com)での事前登録を早めに済ませておきたい。バンコクからアユタヤへ移動する手段としては、鉄道やロットゥー(乗合バン)が一般的だが、往復の足が確保されたうえで無料というのは、旅程を組むうえで小さくない利点になる。