タイ政府は、バンコクおよび周辺エリアを走る都市鉄道の運賃を2027年1月1日から17~45バーツ(約80~210円)の範囲に統一する計画を進めている。首相府副報道官のラリダー・ペーリットウィワットタナー氏が13日、方針を発表した。
対象はBTS(スカイトレイン)とMRT(地下鉄)で、バス・船との連携は後の段階で検討される。運輸省のシリポン・アンカサクンキアット副大臣は、タイ版「ワンチケット」政策を議論する会議後にこの方針を説明した。
仕組みは「後払い」方式、乗換時の初乗り料金なし
利用者は改札で通常通りの運賃を支払い、登録済みのタイ国籍利用者は後日、国営クルンタイ銀行の決済アプリ「パオタン」を通じて差額が返金される仕組みだ。当局は「改札口で即座に45バーツ以下に引き下げるものではない」と明言しており、割引は即時反映ではなく事後精算となる。複数路線を乗り換える際にかかっていた初乗り料金(ค่าแรกเข้า)の二重負担はなくなる予定だ。
対応するキャッシュレス決済については、運輸省がクルンタイ銀行と協力し、EMV対応のクレジットカード・デビットカードを登録・返金の手段として使えるよう調整している。ラビットカードへの対応や、各路線での統一型カードリーダー導入も長期的な課題として議論されている。
開始時期は「準備状況次第」、財源は国家予算で検討
2027年1月1日の開始目標について、当局は「システムの準備と関連承認の状況に左右される」と留保をつけている。運賃差額を穴埋めする予算については、運輸省が内閣に予算配分を提案する方向で準備中だが、具体的な金額は示されていない。移行期間中は、既存の鉄道事業者の特権契約(コンセッション)を全面的に再編するのではなく、現行の枠組みを使う方針だ。
現在、バンコクの都市鉄道は路線ごとに運賃体系が異なり、BTSとMRTを乗り換えると割高になることが利用者の不満の種となっている。日本人旅行者や在住者が通勤・観光でBTS・MRTを頻繁に利用することを考えると、運賃構造そのものの変化は今後の移動コストに影響する可能性がある。ただし今回発表された返金制度は、パオタンアプリに登録したタイ国籍の利用者が対象であり、外国人旅行者や多くの在住外国人がこの割引を直接受けられるかどうかは現時点では明らかにされていない。