
ヘッドホンをしていても、声が突き抜けてくる。バンコクの高架鉄道BTSの車内で、イタリア人とみられる10代の集団が大騒ぎ——。見かねて注意したタイ人女性が浴びせられたのは、中指と、親の悪口だった!
問題の動画がSNSに投稿されたのは7月24日。投稿したのはBTSに乗車していたタイ人女性だ。彼女によれば、車内で外国人の若者グループが大声で騒ぎ、歌うような状態が続いていた。「ヘッドホンをつけていても、はっきり聞こえるレベルでした。さすがに我慢の限界でした」
注意したら、中指が返ってきた
女性が静かにするよう促すと、状況は改善するどころか悪化した。グループの男性の1人が中指を立て、下品な言葉を浴びせたうえ、彼女の両親にまで及ぶ侮辱を口にして笑ったという。
「注意したこと自体を、面白がられたんです。あの笑い方が、いちばん傷つきました」。女性はそう語っている。
動画は瞬く間に拡散し、タイ国内で大きな議論を呼んだ。芸能界からも声が上がり、タレントのドーム・パコーンラム氏がSNSでこのグループを厳しく批判。「外国人だから何をしてもいいわけではない」と苦言を呈した。
旅行会社が謝罪表明
騒ぎが拡大したことを受け、グループを扱っていたとみられる旅行会社が謝罪を表明する事態に発展した。タイ側の関係者からは「一部の若者の行動で、国全体のイメージが決まってしまうのは残念」との声も出ている。
SNSではタイ人ユーザーの投稿が相次いだ。
- 「タイ人が海外でやったら『マナーがなっていない』と叩かれるのに、逆だと許されるのか」(Facebook)
- 「注意した彼女は勇気がある。普通は目を逸らして終わりだ」(X)
- 「旅行会社が謝ったのは評価する。でも、当人たちは何も分かっていないと思う」(Facebook)
- 「観光客に来てほしい。でも、電車の中で叫ぶ人には来てほしくない」(Facebook)
公共交通のマナー、繰り返される衝突
BTSは1日あたり数十万人が利用するバンコクの大動脈だ。通勤客と観光客が同じ車両に詰め込まれる構造上、マナーをめぐる摩擦は以前から起きてきた。過去にはタイ人観光客が日本の電車内で踊り、日本側から批判を受けて謝罪する騒動もあった。今回は立場が入れ替わった形だ。
ある在住日本人はこう語る。「静かに乗るというのは、ルールというより、その土地の呼吸に合わせるということです。それが分からないと、どこの国に行っても嫌われます」
旅の恥はかき捨て——という言葉は、SNSの時代にはもう通用しない。動画は残り、世界中に配信される。
