タイの病院内で堂々と大麻を吸引していた24歳の男が発見され、居合わせた職員が騒然となった――と聞けば厳重注意は免れないと思いきや、事情を聞いた病院スタッフは男を咎めなかった。理由は、男が入院中の母親を見舞うためにその場にいたと分かったからだという。
問題の出来事が起きたのはバンコク近郊の病院。24歳の男性が院内の一角で大麻を吸引しているところを職員が見つけ、当初は厳しく対応する構えだったという。ところが事情を聞くと、男性は入院している母親の見舞いに訪れており、精神的な負担から思わず大麻に手を伸ばしてしまったという事情が明らかになった。
職員「厳しく責める気にはなれなかった」
タイでは大麻をめぐる規制がここ数年で二転三転しており、娯楽目的の使用や公共の場での喫煙は現在、原則として禁止されている。病院という公共施設内での喫煙は本来であれば厳格に取り締まられる対象だが、今回は母親の看病という事情を踏まえ、職員側は厳重な処罰よりも注意にとどめる対応を選んだとみられる。
この一件がSNSで伝わると、「気持ちはわかるが病院では控えてほしい」「家族の心配で気が動転していたのだろう」といった趣旨の書き込みが相次いだ。一方で「病院という場所での喫煙は理由を問わず問題だ」と厳しい意見も見られ、賛否が分かれている。
大麻をめぐる線引きの難しさ
タイでは大麻の扱いをめぐる法制度が流動的で、一般市民の間でも「どこまでが合法でどこからが違法か」があいまいなまま運用されているのが実情だ。今回のように、規則と人情の間で現場の対応が揺れるケースは今後も出てきそうだ。深刻な事件ではないものの、母を思う気持ちが結果として院内での喫煙という形で表れてしまった今回の一幕は、タイ社会が抱える大麻ルールの「グレーゾーン」を映し出している。