
タイの新車市場でも存在感を強める中国の電気自動車(EV)大手BYDが、輸出の急拡大を追い風に業績を回復させている。タイ経済紙が8月29日に報じたところによると、BYDの第2四半期の純利益は82億元(約12.2億ドル)で前年同期比30%増となり、4四半期連続の減益からようやく脱却した。
上半期のEV輸出台数は79万台で前年同期比71%増加し、全体の売上高の44%を占めるまでに拡大した。海外事業の売上総利益率は22%に達し、価格競争が激しい中国国内事業を大きく上回る収益性を確保している。海外売上高が全体の53%を占め、輸出がBYDの業績を支える構図が鮮明になった。
タイ市場でも上位ブランドに定着
タイ国内では、BYDはここ数年でEV販売台数上位の常連ブランドとなっており、バンコクをはじめとする都市部の新車市場で存在感を強めている。今回の輸出急拡大は東南アジア市場への供給余力の高まりを意味しており、タイ国内のEV販売価格競争にも一段と影響が及ぶとみられる。
中国国内では不動産不況や消費低迷を背景に価格競争が激化しており、BYDを含む中国メーカー各社は海外展開の強化でこれを補う戦略を鮮明にしている。タイはこうした中国EVメーカーにとって東南アジアの主要な輸出拠点・生産拠点の一つと位置づけられており、今後も価格・車種のラインアップ競争が続く可能性が高い。
タイの自動車産業には両面の影響
安価で高性能な中国製EVの流入は、タイの消費者にとっては選択肢の拡大というメリットがある一方、既存の内燃機関車メーカーや部品産業にとっては競争激化という課題も突きつける。タイ政府がEV輸入関税の見直しを検討している背景にも、こうした国内産業保護の思惑があるとみられ、今後の政策動向と合わせて注視する必要がありそうだ。