
タイ国内のバッテリー式電気自動車(BEV)市場が拡大を続けている。業界予測によると、2026年通期のBEV販売台数はおよそ15万800台に達する見通しで、プラグインハイブリッド車(PHEV)も2万1500台規模まで伸びるとみられている。タイの新車市場全体に占めるEV(BEV・PHEV等)のシェアは、直近で15%を超える水準まで拡大している。
タイは東南アジアにおける自動車生産拠点として、内燃機関(ICE)車の輸出を主力としてきたが、近年は中国メーカーを中心とするBEVの現地生産・投資が相次ぎ、国内販売網の整備も急速に進んでいる。業界関係者は「タイ国内のBEV普及は、政府による購入補助や物品税優遇策が下支えとなってきた。2026年以降は生産拠点の確保を巡る競争が焦点になる」と分析する。
輸出市場では逆風も
一方で、タイ製EVの主要な輸出先の一つであるオーストラリア市場では、中国製EVの流入拡大が価格競争を激化させており、タイからの輸出にも影響が及び始めているとの指摘がある。長期予測では、2026〜2028年の間、BEV乗用車の新規登録台数は年平均3.8%程度の伸びにとどまるとの見方もあり、急拡大の反動として成長ペースが徐々に落ち着く可能性も示唆されている。
タイ財務省は、EV関連の生産拠点誘致を強化するための新たな税制パッケージを9月にも発表する見通しで、バッテリー生産や部品調達の現地化を後押しする方針とみられる。ある自動車業界アナリストは「タイが単なる組み立て拠点にとどまらず、バッテリーなど基幹部品のサプライチェーンをどこまで国内に取り込めるかが今後のカギになる」と指摘した。
ガソリン車大国としての歴史を持つタイが、EVシフトの波にどう対応していくのか。政府の税制支援と民間投資の行方が、東南アジアの自動車産業の勢力図を左右しそうだ。