タイ政府が外国人旅行者から徴収する「入国料」(タイ語で「ค่าเหยียบแผ่นดิน」、直訳は「土地を踏む料金」)の導入が、具体的な段階に入った。タイ観光・スポーツ省は10月6日、バンコクの同省で関係機関や民間との会議を開き、1人450バーツ(約2100円)とする告示案の運用方法を協議した。
会議を主宰したスラサック・パンチャルーンウォラクン観光・スポーツ相によると、告示案は空路で入国する対象の外国人旅行者に、告示の発効と同時に適用する。陸路と海路での入国は1年間猶予する。9月28日に締め切ったオンラインの意見公募では、80.5%が告示案に賛成した。
いつから払うのか、発効は官報掲載から180日後
タイ公共放送タイPBSによると、同省は今後、詳細を閣議に諮り、官報に掲載する。料金の徴収は官報掲載から180日後に始まる仕組みで、同省は来年1〜3月期の開始を目指している。日本人旅行者も、空路で入国する外国人として対象になるとみられるが、免除対象の範囲は今後決まる。
支払い方法も未定だ。航空券代金への上乗せ、専用アプリ、ウェブサイト、空港のキオスク端末などが候補に挙がっている。同省は入国審査の流れを遅らせず、旅行者の負担にならない方法を関係機関や事業者と詰める方針だ。民間側からは「旅行を妨げない料金水準にすること」「国境の交易者や頻繁に往来する人の免除を検討すること」などの要望が出た。
集めたお金の使い道、旅行者向け保険も
徴収した料金は観光振興の基金に入る。その一部で、支払った旅行者を対象に死亡や治療費を補償する保険を購入する。国境地域の公立病院では、外国人の未回収の医療費が年約70億バーツ(約330億円)に上るとされ、その負担を減らす狙いがある。残りは観光地の修復・整備や、観光警察、安全対策、旅行者向け施設に充てる。保険料などを差し引いた後でも、少なくとも約80億バーツ(約380億円)を見込む。
スラサック観光・スポーツ相は「この基金の設立は、予算外の収入をあらゆる面で共同で役立てるものだ」と説明した。タイ国政府観光庁(TAT)のタパニー総裁は「旅行者に、支払ったお金に価値があり、払う意味があったと感じてもらうことが重要だ」と述べた。
タイには今年1〜9月に外国人旅行者が2200万人以上訪れ、1兆バーツ(約4.7兆円)以上の収入をもたらした。観光税や入国料を課す国・地域は欧州や日本、オーストラリア、バリ島など80以上あるという。日本人にとって450バーツ(約2100円)は大きな額ではないが、徴収方法によっては航空券の購入時や入国時の手続きが変わる可能性がある。来年前半にタイ旅行を計画している人は、発効日と支払い方法の発表に注目しておきたい。