
古い墓地の土の下から、バイクが出てきた。そこから捜査は一気に動いた。パタヤで消息を絶ったロシア人の兄妹をめぐる事件で、警察は7月30日までに「ポン」「トン」と呼ばれる2人の男に逮捕状を取った。ただし2人の身柄は、この時点でまだ確保できていない。
掘り返された土から出てきたもの
この事件が「ただの行方不明」ではないと分かったのは、兄妹が乗っていたオートバイが、古い墓地の敷地内に土をかぶせて隠されているのが見つかった時だった。乗り捨てではない。埋められていたのだ。捜査関係者の間で、事件性は極めて高いとの見方が一気に強まった。
タイ警察はこれまで、刑務所を出て2カ月ほどの男の行方を追っていた。その線上に浮かんだのが、今回逮捕状が出た2人である。捜査当局は依然として容疑者の身柄を押さえられておらず、周辺の防犯カメラ映像と通信記録の解析を並行して進めている。
外国人観光地での失踪という重み
パタヤはロシア人観光客・長期滞在者が特に多い街だ。それだけに、ロシア人の兄妹が忽然と姿を消し、乗り物だけが埋められて見つかったという事実は、在留コミュニティに強い不安を広げている。
現時点で、兄妹の生死につながる直接的な証拠は公表されていない。警察も遺体の発見については何も明らかにしておらず、年齢や滞在目的といった詳細も伏せられたままだ。
SNSは「早く見つけて」一色
ネット上には「兄妹の家族の気持ちを考えると胸が苦しい」「バイクを埋めるって、どう考えても普通じゃない」「タイの観光イメージにも関わる、絶対に真相を出してほしい」といった投稿が並ぶ。
タイでは今年、外国人観光客を狙った監禁・身代金要求事件も摘発されており、当局は「タイは依然として安全だ」と繰り返してきた。その言葉の重みが、今まさに試されている。
捜査本部は2人の行方を全国に手配し、国境の検問所にも通報した。
——土に埋めれば消えると思ったのだろうが、地面は案外おしゃべりだった。
