9月24日から27日にかけてタイ48県を襲った豪雨・洪水により、タイ経済は深刻な打撃を受けている。ランシット大学経済学部のアッタ・ピサルワニッチ准教授の試算によると、今回の自然災害による経済損失は平均で約254億バーツ、最大で337億バーツに達するとみられる。
GDP成長率を0.55ポイント押し下げ
この規模の被害は、2026年第3四半期のGDP成長率を平均0.55ポイント押し下げる見込みだという。バンコクの物流や商業活動が集中する都市部で被害が大きく、経済全体への波及効果も無視できない水準に達している。
地域別の被害額(最大シナリオ)を見ると、バンコクが最大105億バーツと全体の約31%を占め、突出して大きい。次いで東部地域が約73億バーツ、中部地域が約58億バーツ、北部地域が約27億バーツと続く。首都圏に経済活動が集中するタイならではの被害構造が浮き彫りになった形だ。
卸小売・金融保険業に打撃、農業・製造業にも波及
産業別に見ると、バンコクでは卸売・小売業が23.4%、金融保険業が14.9%の被害を受ける見通しとなっている。一方、農業が主産業の地域では農業セクターへの打撃が深刻で、工業団地が集積する地域では製造業が大きな損失を被ると予想されている。サプライチェーンが広範囲にわたって寸断されるリスクも指摘されており、影響は今後さらに広がる可能性がある。
今回の被害額は、2011年の大洪水と比較すると限定的な水準にとどまるとの見方もあるが、それでも48県という広範囲に及んだことで、地域経済への影響は無視できない規模となっている。専門家は「短期的な消費の落ち込みに加え、住宅や工場の復旧コストも重なり、実際の負担はさらに膨らむ可能性がある」と指摘する。
政府による支援策の効果が焦点に
タイ政府はすでに官公庁の臨時休業や各種の被災者支援策を打ち出しているが、経済への実質的な影響を最小限に抑えられるかどうかは、今後の復旧スピードと支援策の実効性にかかっている。第3四半期の経済指標が公表される時期には、今回の洪水被害の全容がより明確になる見通しだ。