タイの国家サイバーセキュリティ機関(NCSA)は、2026年版の「タイ・サイバー脅威リスク評価報告書」を公表し、AIを使った攻撃およびAIシステムへの攻撃が、今後2年間にタイが備えるべきリスクの1位になったと明らかにした。
調査は235人の回答者と134の参加機関を対象に、1156件のリスク項目を20のシナリオ(R1〜R20)に分類して分析したもの。評価されたリスクの49.8%が「高」レベルと判定された。AIリスクを最重要と選んだ回答者は40.0%、70.0%がこのリスクを「高」と評価し、経営層に限ると84.2%がAIを重要リスクに選んでいる。
量子技術の脅威も上位に
ランキングでは、2位にランサムウェア(39.6%)、3位に認証情報の窃取(38.7%)が続き、4位には量子脅威・耐量子暗号(PQC)対応が36.6%で入った。2025年にはソフトウェアの脆弱性悪用が最大のリスクだったが、2026年はAI関連攻撃が首位に立ち、タイでもAIの普及に比例してリスク意識が急速に高まっていることがうかがえる。
金融・公共サービスへの波及を警戒
AIリスクは、波及効果(カスケード)の可能性が20シナリオ中で最も高い20.0%とされ、重要な公共サービス(53.6%)、金融・銀行(50.2%)、IT・通信(47.2%)への影響が特に懸念されている。報告書は、AIガバナンスと人間による監督、多要素認証とゼロトラストによるアクセス管理、ランサムウェア対策、脆弱性管理の4分野での対策強化を提言している。
タイでは日系企業を含む多くの外資系企業がデータセンターやAI関連投資を拡大しており、サイバーリスクへの備えは今後、投資先選定の重要な判断材料になりそうだ。