
タイの首都バンコクが記録的な洪水に見舞われる中、冠水した幹線道路をジェットスキーで疾走する動画がSNSに投稿され、大炎上する騒動があった。9月28日、投稿の主である27歳の男に有罪判決が言い渡された。
冠水道路が「遊び場」に変わった日
事件の舞台はバンコク中心部、大雨で完全に冠水したペッチャブリー通り。9月27日、この道路をジェットスキーで走行する27歳の男の映像がSNSに投稿された。投稿は「コンテンツ制作目的」だったとみられるが、水没した車や避難する住民が映り込む中での軽率な行動に、ネット上では批判が殺到した。
男は1990年代に人気を博した「悪役女優」として知られる女優ジョイ・チャムチュリー・チュートチョーム氏の息子だ。騒動を受けて本人が警察に出頭し、身柄を確保された。
「外国人にそそのかされた」釈明も炎上に拍車
取り調べに対し、男は「(海外の)外国人にそそのかされた」「タイの文化を知らなかった」「人々に笑顔を届けたかった」などと釈明したと報じられている。しかし、洪水で自宅や車を失った市民が数多くいる中でのこの発言は、かえって世論の反発を強める結果となった。
9月28日、北パトゥムターニー地方裁判所は道路交通法違反の罪で男に有罪を言い渡した。禁錮1カ月、罰金1万バーツとした上で、自白を考慮し刑を半減。最終的に禁錮15日(執行猶予1年)、罰金5000バーツ、保護観察1年(3回の報告義務)、社会奉仕12時間、そしてジェットスキーの没収を命じた。判決の場には母親のジョイ氏も同行し、頭を下げたという。
洪水下の「非常識行動」に厳しい視線
タイでは大規模な洪水被害が続く中、被災者の苦境をよそにレジャー感覚で振る舞う著名人や富裕層の行動がたびたび槍玉に挙げられてきた。今回の判決も、そうした「非常識な振る舞い」への社会的な警鐘として受け止められている。
ジェットスキーは没収されたが、SNSに残った映像は今も拡散を続けている。笑顔を届けるどころか、自らの名前に消えない汚点を残す結果となった。