
「タイで温泉?」と驚く人は多いだろう。しかし常夏のイメージとは裏腹に、タイは東南アジア有数の温泉大国だ。タイ政府の2023年の調査では全国に118か所の温泉が確認されており、内訳は北部71か所、南部32か所、中部12か所、東部2か所。とくに山がちな北部に温泉が集中している。
チェンマイなど北部の朝晩が冷え込む11月から2月の乾季は、まさに温泉シーズン。本特集では、日本人旅行者でも訪れやすい温泉を11県・14か所に絞り込み、県ごとの紹介記事とあわせてお届けする。
タイ政府が本気で進める「温泉経済」

タイ観光スポーツ省は、国内の温泉を欧州のスパタウンや日本の温泉街のような国際水準の観光地に育てる方針を掲げている。近隣県の温泉を7つの「ウェルネスルート」として結び、地方都市への誘客につなげる計画だ。日本の静岡県とも温泉開発で協力する覚書を結んでいる。
モデル地区に選ばれたのがチェンマイ県のサンカムペーン温泉で、2023年には約38万人が訪れた。保健省タイ伝統医療局や政府製薬機構(GPO)も参画し、温泉水を使ったスキンケア製品やミネラルウォーターの開発を進めている。南部ではラノーン県のラクサワリン温泉が「オンセンタウン」の旗艦として整備されている。
タイの温泉マップ

北部はチェンマイ、メーホンソン、ランパーン、チェンライの4県に名湯が集まる。中部・西部ではバンコクから日帰りや1泊で行けるカンチャナブリー県とラーチャブリー県、さらにカムペーンペット県。南部はアンダマン海側のラノーン、パンガー、クラビの3県と、マレーシア国境に近いヤラー県が温泉どころだ。
厳選14湯と県別ガイド
北部
- サンカムペーン温泉(チェンマイ県)— 国のモデル温泉。高さ20mの噴泉と温泉卵が名物 →チェンマイ県の温泉ガイド
- ファーン温泉(チェンマイ県)— 国立公園内で蒸気が40m以上噴き上がる →チェンマイ県の温泉ガイド
- テープパノム温泉(チェンマイ県)— オブルアン国立公園内、個室湯とマッサージあり →チェンマイ県の温泉ガイド
- サイ・ガーム温泉/ターパーイ温泉(メーホンソン県)— パーイ近郊の森の中の自然湯 →メーホンソン県の温泉ガイド
- メーウムロン温泉(メーホンソン県)— メーサリアン郊外の小さな湯治場 →メーホンソン県の温泉ガイド
- チェーソン温泉(ランパーン県)— 源泉は73〜82℃、国立公園の滝とセットで →ランパーン県の温泉ガイド
- ポンプラバート温泉(チェンライ県)— 市街地から近く、入場無料 →チェンライ県の温泉ガイド
中部・西部
- プラルアン温泉(ブンサープ)(カムペーンペット県)— 伝説の残る無料の足湯と個室湯 →カムペーンペット県の温泉ガイド
- ヒンダット温泉(カンチャナブリー県)— 第2次大戦期の日本軍ゆかりの川辺の湯 →カンチャナブリー県の温泉ガイド
- ボークルン温泉(ラーチャブリー県)— バンコクから約3時間、湯けむりの立つ温泉の川 →ラーチャブリー県の温泉ガイド
南部
- ラクサワリン温泉(ラノーン県)— 源泉約65℃、無料の足湯がある「温泉の町」の象徴 →ラノーン県の温泉ガイド
- ロンマニー温泉(パンガー県)— カオラックから車で約50分の山あいの湯 →パンガー県の温泉ガイド
- クロントム塩温泉と温泉滝(クラビ県)— 世界でも珍しい塩水の温泉 →クラビ県の温泉ガイド
- ベトン温泉(ヤラー県)— 約80℃の源泉でゆで卵が作れる国境の町の湯 →ヤラー県の温泉ガイド
タイの温泉の楽しみ方とマナー
タイの温泉は日本とは勝手が違う。大浴場の多くは水着や着衣での入浴が前提で、裸で入れるのは料金制の個室風呂がほとんどだ。足湯だけの施設も多い。
- 服装:水着か、濡れてもよいTシャツ・短パンを持参。タオルの貸し出しがない施設も多い
- 料金:公共温泉は無料〜数十バーツが中心。国立公園内の温泉は外国人料金(100〜200バーツ程度)がかかることがある
- 温泉卵:源泉が高温の温泉では、売店で生卵を買って湯につけるのが定番の楽しみ方
- 時間帯:昼間は暑いので、湯けむりが立つ早朝か夕方がおすすめ
- 体調管理:入浴前後の水分補給を忘れずに。高血圧など持病のある人は、熱い湯への長湯を避ける
※本特集の料金・営業時間は2026年10月時点の公開情報をもとにしています。変更されることがあるため、訪問前に各施設の最新情報をご確認ください。
温泉はタイ旅行の新しい定番に
寺院巡りやビーチリゾートだけでなく、温泉を目的地にしたタイ旅行も十分に成り立つ。北部なら涼しい乾季に、南部ならアンダマン海のリゾートと組み合わせて。各県の記事では、温泉の詳細に加えて県の見どころやアクセスも紹介しているので、旅の計画にぜひ役立ててほしい。