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タイ全土で洪水被害拡大、21県で8万人超に影響 バンコクでは少なくとも13本の道路が冠水

冠水するバンコク都内の幹線道路

タイ中部に停滞する低気圧(モンスーントラフ)と強い南西モンスーンの影響で、24日から続く大雨により、タイ各地で洪水被害が広がっている。内務省防災局(DDPM)によると、26日午前7時時点で北部・中部・東部・東北部の21県93郡で浸水が続き、2万7109世帯・8万4605人が影響を受けた。9月16日以降の累計では36県・3万3302世帯・10万2957人に達している。東南アジア諸国連合(ASEAN)防災人道支援調整センター(AHAセンター)によると、中部サラブリ県で1人が死亡した。

バンコク、2011年以来の規模との声も

首都バンコクでは24日午後から降り始めた雨が約48時間で300ミリ近くに達した。9月1〜25日の累計雨量は487ミリと、平年値(269ミリ)の約1.8倍に上る。

バンコク都(BMA)は25日にノンチョーク、スワンルアン、カンナヤオの3区を災害区域に指定したが、浸水の拡大を受けて26日午後、都内全50区に指定を拡大した。都によると、少なくとも13本の道路が冠水し、一時避難所には約980人が身を寄せている。寝たきりの住民36人は病院に移送された。ペッチャブリー通りが通行止めとなったほか、ラムカムヘン通り、ウィパワディー通り、ラートクラバン方面などで交通が大きく乱れ、東部方面の長距離バスの一部も運休した。

チャチャート知事は「運河が満水の状態で排水が追いつかない」と説明。都のポンプ場は毎秒1200立方メートルの能力で排水を続けており、「雨がやめば2〜3日で水は引く見通し」としている。今回の浸水は上流からの流下水ではなく、主に局地的な豪雨によるものだという。都は地下鉄(MRT)のパークアンドライド駐車場を10月2日まで無料開放し、各区役所で土のうを配布している。

チャオプラヤー川、放流量を段階的に引き上げ

王室灌漑局は、チャイナート県のチャオプラヤー・ダムからの放流量を26日夜に毎秒1850立方メートルに引き上げた。ダム上流の水位は管理水位(17メートル)に迫る16.94メートルで、放流量は今後毎秒1900〜2000立方メートル、必要に応じ最大2200立方メートルまで増やす可能性がある。東西の用水路への分水はほぼ限界に達しており、シンブリ、チャイナート、アユタヤの各県や、パトゥムタニ県のランシット地区などで警戒が続く。27〜29日は降雨域が西寄りに移り、スパンブリ、カンチャナブリ、ナコンパトムなどでの増水が懸念されている。

防災局によると、水位が上昇傾向にあるのはスパンブリ、チャチュンサオ、サケーオの3県。ナコンサワン、ロッブリ、アユタヤなどは横ばい、チェンマイ、ペッチャブーン、サラブリ、ナコンラチャシマなどでは減少に転じている。

東北部ナコンラチャシマ(コラート)県では、カオヤイ国立公園周辺からの鉄砲水が26日、パークチョン郡の市街地や住宅地に流れ込み、一部では胸の高さまで浸水した。救助隊がボートで高齢者や寝たきりの患者、子どもらを避難させた。同郡周辺では観光客に人気のカフェが臨時休業するなどの影響も出ている。

首相は予定を切り上げ帰国

日本・米国・英国を歴訪中だったアヌティン首相は26日、ロンドンからオンラインで緊急会議を開き、関係機関に「単一のデータに基づく一体的な対応」を指示した。首相は日程を切り上げ、27日朝に帰国する予定と伝えられている。政府はバンコク周辺のパトゥムタニ、ノンタブリ、サムットプラカン、サムットサコン、ナコンパトムの各県知事にも連携強化を求めている。

気象局は27日まで全国的に強い雨が続くと予報しており、その後は次第に弱まる見通し。ただし、チャオプラヤー川下流域では上流からの流下水の到達により、しばらく水位の高い状態が続く可能性がある。防災局は低地や河川沿いの住民に対し、引き続き鉄砲水や土砂災害への警戒を呼びかけている。

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