バンコク・サムセン地区にある名門男子校、セントガブリエル学園で、地方の県議会議員(ソー・チョー)の息子とされる上級生グループが後輩を取り囲んで殴る蹴るの暴行を加えたうえ、拳銃を取り出して突きつけるという事件が起きた。動画がSNSに流出し、「名門校でこんなことが起きるのか」と保護者や卒業生の間に衝撃が広がっている。
事件が起きたのは8月上旬。被害を受けたのは同校に通う教員の息子とされる下級生の男子生徒で、加害者側は東北(イサーン)地方出身の県議会議員の子どもだとSNS上で指摘されている。目撃した生徒によれば、複数人で取り囲んで殴打したうえ、加害者の一人が拳銃を取り出して下級生に突きつけたという。周囲にいた生徒からは「銃が暴発するのでは」と恐怖の声が上がったと伝えられている。
学校側「暴力は一切容認しない」と声明
事態を重く見た学校側は声明を発表し、「いかなる形の暴力も本校は容認しない」との立場を明確にしたうえで、加害者側の生徒に対して懲戒処分を進めていることを明らかにした。あわせて被害生徒の心のケアにも取り組んでいると説明し、児童保護法の観点から映像の拡散を控えるよう社会に呼びかけた。
SNS上では「相手が議員の息子だから揉み消されるのではないか」「学校は本当に平等に処分できるのか」といった趣旨の投稿が広がり、加害者の家庭的な背景に注目が集まった。一方で「まずは被害者の心のケアを最優先にしてほしい」との声も少なくない。
相次ぐ学校での銃器トラブルに警戒感
タイでは同時期にノンタブリ県の学校で銃乱射事件が起きたばかりで、教育現場での銃器や暴力への警戒感が急速に高まっている。セントガブリエル学園は今回の騒動を受け、登校時に金属探知機で生徒のかばんを確認する対策を導入する方針を明らかにし、保護者には午前7時50分までに送迎を終えるよう呼びかけた。
名門校というブランドの陰で、家庭の権力関係が生徒間のいじめや暴力にどう影響しているのか。学校という本来もっとも安全であるべき場所で拳銃が持ち出された今回の一件は、タイ社会に重い問いを投げかけている。