タイ東部チョンブリー県パタヤ沖に浮かぶ観光地ラン島の寺院「ワット・マイ・サムラン」で、本尊「プラ・プッタシンカ」の頭頂部に施されていた金の装飾が盗まれていたことが分かった。発覚したのは10月7日午前11時ごろ、参拝者から布施を受けていた住職のが、本尊の様子がおかしいことに気づいたのがきっかけだった。
「10月2日には確かにあったのに、6日にはもう消えていた」。住職は寺の記録を確認し、犯行があったのはその間の10月3日から6日にかけてとみている。盗まれたのは本尊頭頂部の金の飾りのほか、ナーク(蛇神)をかたどった首飾りや、お守りのメダルなど、重さにして金の目安で3バーツ(約45グラム)以上に相当する装飾品だという。
監視カメラの配線が切断されていた
寺の調査では、本尊の台座付近に手や足の跡とみられる痕跡が見つかっている一方、防犯カメラの配線が切断され、一部のカメラはプラグそのものが抜かれていたことも判明した。計画的な犯行をうかがわせる状況に、寺関係者の間には動揺が広がっている。「観光客も大勢来るような開けた寺なのに、まさかこんなことになるとは」と話す地元住民もいる。
寺側はパタヤ市警察署に被害届を提出し、鑑識担当者が現場で指紋や足跡を採取した。住職は、金店や古物商、金属の溶解業者に対し、不審な品があれば寺や警察に知らせてほしいと呼びかけている。ラン島はパタヤから船で行き来できる人気の観光地で、ビーチだけでなく寺院を訪れる観光客も少なくない。
地域の信仰の象徴が被害に
タイの寺院にとって、本尊に施された金の装飾は、信者からの長年の布施が積み重なった結果であり、単なる金銭的価値以上の意味を持つ。「仏様の体を傷つけるような行為は、お金の問題というより、島の人たちの心を傷つける行為だ」との趣旨の声も、地元では聞かれているという。
警察は防犯カメラの配線切断の経緯や、台座付近の痕跡を手がかりに捜査を進めている。ラン島を訪れる機会がある旅行者にとっても、観光地の治安に関わる出来事として注目されそうだ。
「仏様に手をかけるとは」近隣住民も憤り
寺の近くで土産物店を営む女性は、「小さい頃からこの仏様を見て育った。仏様の体に手をかけるなんて、罰が当たると思わなかったのか」という趣旨の憤りを語ったという。コーラン島には他にも複数の寺院があり、今回の事件を受けて、島内の他の寺院でも防犯カメラの点検や夜間の見回り強化を検討する動きが出ているとされる。
SNS上では、「観光地だからこそ、こういう事件が起きると島全体のイメージが傷つく」「寺院の防犯体制は意外と手薄なところが多い、他の地域も見直すべきだ」といった趣旨の投稿が広がっている。パタヤ市警察署は、金店や質屋への聞き込みも含めて捜査範囲を広げる方針で、盗まれた金がすでに溶解・加工されている可能性も視野に入れて調べを進めている。