スポンサーリンク
スポンサーリンク

タイの社会保障制度、2031年に財政赤字の恐れ、高齢化で3階建て年金への移行提言

タイの国家経済社会開発委員会(NESDC)がまとめた報告書で、何も対策を取らない場合、タイの社会保障制度が2031年に財政赤字に陥る可能性があることが分かった。急速な高齢化によって給付の支出が保険料収入の伸びを上回るペースで増えているためだ。

2024年時点の社会保障制度の支出は1兆4000億バーツ(約6兆5800億円)で、2012年の6100億バーツ(約2兆8670億円)から年平均7.3%のペースで増加。収入の伸び率6.6%を上回っている。支出の国内総生産(GDP)比も2012年の4.96%から2024年には7.50%まで上昇した。支出の内訳は退職・死亡関連の給付が41.29%、保健医療が32.64%で、この2つが全体の4分の3を占める。一方、収入の構造を見ると政府補助金が72.8%を占め、被保険者や雇用主からの拠出はわずか13.6%にとどまる。

2040年には支出が収入を上回る見通し

2040年には、基本シナリオでも収入が1兆9200億バーツ(約9兆240億円)にとどまる一方、支出は2兆3700億~2兆7600億バーツ(約11兆1390億~12兆9720億円)まで膨らむと予測されている。タイの60歳以上人口の割合は2010年の13.18%から2023年には20.17%まで上昇し、2034年には28.09%に達して「超高齢社会」入りする見通しだ。生産年齢人口(15~59歳)の比率も2040年には55.83%まで低下すると見込まれている。公的債務残高も2026年5月時点で12兆9000億バーツ(約60兆6300億円)、GDP比66.8%に達しており、2030年には68.2%まで上がると予測されている。

年金を3階建てに、医療費抑制も提言

NESDCは、国が基礎的な保障を担う1階部分に加え、拠出型の上乗せ年金(2階)と任意の個人貯蓄(3階)を組み合わせた多層的な年金制度への移行を提言した。医療費では価値に基づく医療(VBHC)の導入や疾病ごとの定額払い、予防重視、健康を害する製品への課税などを挙げた。収入面では、ギグワーカーや自営業者を拠出制度に組み込むことや、所得・納税・給付の情報を統合したデータ連携システムの整備による重複・漏れ・不正受給の防止も課題とした。タイの人口構成は今後20年で急速に高齢化が進むとみられており、制度改革のスピードが問われる局面に入っている。

タイトルとURLをコピーしました