タイ内務省は10月27日、外国人の子ども50人分の出生証明書を取り消したことを明らかにした。背景には、タイ人の名前を父親欄に不正に使って出生登録を行い、タイ国籍や住民登録を取得しようとする手口が広がっていたことがある。ただし取り消しの対象になった子どもたちについては、タイ国内での居住や就労自体は引き続き可能とされ、あらためて国籍を申請する場合は正規の規則に従う必要があるとの方針が示された。
マネーロンダリング事件の捜査から浮かび上がった手口
この問題が明らかになったきっかけの一つは、スワンナプーム国際空港での出国審査で発覚した、中国籍の男児に関する出生証明書の不正だった。中国で指名手配されていた男がバンコクのバンナー地区で身柄を拘束された事件に関連して、子どもの出生証明書にタイ国籍の男性が父親として記載されていたことが判明している。こうした事例が氷山の一角である可能性を踏まえ、内務省は出生登録のチェック体制を見直す動きを強めている。バンコク都知事も、出生登録の審査強化と、関係した職員への処分の検討を指示したと報じられている。
タイ在住の外国人家庭にも影響
タイで子どもを育てる外国人家庭にとって、出生登録や国籍取得の手続きは生活に直結する重要な行政手続きだ。今回の取り消しは、不正な手口によって登録された一部のケースに限られるとみられるが、行政側が審査を厳格化する流れは今後も続く可能性がある。正規の手続きを踏んでいる家庭であれば直接の影響は小さいとみられるものの、書類の不備や記載内容に不安がある場合は、早めに在タイ日本大使館や現地の行政書士、弁護士などの専門家に相談し、必要な書類をそろえておくことが望ましい。
国籍不正取得への取り締まり強化の一環
タイ政府は今回のケースと並行して、国籍の不正取得や名義貸しの取り締まりを強化する方針を示す会議も開いている。外国人によるタイ国籍やタイ旅券の不正取得が国際的な犯罪組織の資金洗浄や身分偽装に利用される実態が浮かび上がったことで、行政手続きの審査はより厳格になっていく見通しだ。タイに長期滞在する外国人にとっては、正規の手続きを徹底することが、思わぬトラブルを避ける最も確実な方法になる。