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タイ洪水、27県・バンコクで326万人被災 主要ダム貯水率82%、パーサックは満水超え

タイ各地で洪水被害が拡大している。内務省防災局(DDPM)によると、10月4日時点で27県とバンコク都の計154郡で浸水被害が確認され、被災世帯は約117万世帯、被災者は約326万人に達した。チャオプラヤー川流域では上流からの流入が続き、中規模ダムの一部は満水を超える状態にある。タイ気象局は10月5〜7日にかけて北部から中部、東部で再び大雨になると予報しており、警戒が続く。

被害は27県・バンコクに拡大、326万人が被災

防災局のまとめでは、被害は中部を中心に北部、東部、東北部に及ぶ。被災世帯が多いのはバンコク都(約32万9,000世帯)、サムットプラカン県(約22万3,000世帯)、パトゥムターニー県(約17万世帯)、チョンブリー県(約11万9,000世帯)など首都圏と東部臨海部で、アユタヤ県、チャチュンサオ県、ナコンナーヨック県でもそれぞれ5万世帯を超えた。死者はバンコク都で4人、サムットプラカン県で8人などが報告されている。

バンコク都内では水位が下がり始めているものの、10月上旬は大潮による海水の押し上げが重なる時期にあたり、低地では排水が滞りやすい状況が続く。

チャオプラヤーダムは毎秒2,500トンを放流

王室灌漑局によると、チャイナート県のチャオプラヤーダム(堰)は10月4日時点で毎秒2,500立方メートルの放流を維持している。上流のナコンサワン県C.2観測所の流量は10月1日に毎秒2,610立方メートルまで増えたが、4日には同2,132立方メートルと減少傾向に転じた。ただ、支流のサケークラン川などからの流入が多く、ダムに到達する水量は依然として多い。

灌漑局は下流のチャイナート、シンブリー、アーントーン、アユタヤ、パトゥムターニー、ノンタブリーの6県に対し、川沿いの水位が20〜60センチ上昇する恐れがあるとして警戒を呼びかけた。国家水資源局(ONWR)は、アユタヤ県内のチャオプラヤー川とノーイ川で4日に約10センチの水位上昇を見込んでいた。

主要ダムの貯水率、中規模ダムで満水超え相次ぐ

王室灌漑局とタイ発電公社(EGAT)のデータによると、全国の大中規模ダムの貯水率は合計で82%に達した。とりわけ中部と東部、西部の一部ダムが満水に近く、ロッブリー県のパーサック・ジョラシットダムは111%と貯水容量を超えている。

一方、チャオプラヤー川上流の2大ダムには余力が残る。プミポンダムの貯水量は約90億6,000万立方メートル(貯水率67%)で、あと約44億立方メートルを受け入れられる。シリキットダムは81%で、残る容量は約18億立方メートル。灌漑局は両ダムの放流を一時停止または1日700万立方メートルに絞り込み、上流からの水を「せき止める」運用で下流の負担軽減を図っている。

今後の見通し:週内は警戒継続、中旬以降に峠越えか

気象局によると、中国から南下する寒気と南西モンスーンがぶつかる影響で、10月5〜6日は北部、中部(バンコク含む)、東部、南部上部で、7日は北部西側、中部、南部で局地的な大雨となる見込みだ。東部と南部では8〜12日にかけても雨が続く。ONWRは8〜9日ごろから高気圧が張り出し、中部の天候は12〜14日ごろに回復に向かうとみている。

公表データと気象予報を踏まえると、今後の展開は次のように予測される。

  1. 10月5〜7日(短期):大雨が再び流域に降るため、C.2観測所の流量は減少傾向から横ばい、あるいは再上昇に転じる可能性がある。チャオプラヤーダムの放流は毎秒2,500立方メートル前後が当面続き、アユタヤ、パトゥムターニー、ノンタブリーの川沿い低地では浸水が長引くとみられる。満水を超えたパーサック・ジョラシットダムは放流を続けざるを得ず、ロッブリー、サラブリー、アユタヤのパーサック川沿いが最も注意を要する地域となる。
  2. 10月8〜14日(中期):高気圧の張り出しで中部の雨が収まれば、上流からの流入は徐々に減り、チャオプラヤー川の水位は中旬にかけて緩やかに下がり始める公算が大きい。ただし大潮と重なる日はバンコク都とサムットプラカン県で排水が滞る恐れがある。東部ではクンダン・プラカーンチョンダム(95%)やプラサエーダム(100%)の放流が続くため、ナコンナーヨック、チャチュンサオ、チョンブリー、ラヨーン各県での浸水解消には時間がかかりそうだ。
  3. 10月下旬〜11月(長期):中部・北部は雨季明けに向かい、新たな大規模洪水の可能性は低下する。一方で西部のメークロン川流域はワチラロンコン(99%)、シーナカリン(96%)の両ダムが満水に近く、カンチャナブリー、ラーチャブリー、サムットソンクラーム各県では放流に伴う水位の高止まりが続く可能性がある。11月以降は北東モンスーンの影響で南部が雨季の本番を迎えるため、洪水リスクの中心は南部へ移るとみられる。

2011年の大洪水では、プミポン、シリキット両ダムがほぼ満水となり大量放流を余儀なくされたことが被害拡大の一因となった。今回は両ダムに計60億立方メートル超の受け入れ余力が残っており、チャオプラヤー川流域全体が同規模の洪水に陥る可能性は現時点では低い。ただ、満水を超えた中規模ダムの下流や海抜の低い首都圏では局地的な浸水が続くとみられ、当局は住民に対し最新の水位情報への注意を呼びかけている。


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