
タイ商務省事業開発局(DBD)は2026年8月18日、外国資本が入った法人によるタイ国内の不動産保有状況の調査結果を公表した。対象となった法人は3万6277社。その多くが、バンコク首都圏と主要な観光地の合わせて16県に集中していることが分かった。
14万件の記録を精査して浮かんだ数字
調査は、法人による不動産保有記録14万4706件のうち、登録済みの12万5662件を精査する形で行われた。その結果、外国資本を含む法人3万6277社が土地や建物を保有していることが確認された。
集中している16県の内訳は、バンコク都、ノンタブリ、サムットプラカーン、パトゥムタニ、サムットサコン、ナコンパトムの首都圏6県と、チョンブリ、スラタニ、プーケット、ラヨーン、チェンマイ、チェンライ、プラチュアップキーリーカン、クラビ、パンガー、メーホンソンの観光10県である。残る1123件は全国に分散していた。
外国資本49%以下の3万1516社を「高リスク」に分類
DBDは保有法人を外国資本比率で2つに分けた。外国資本が49%以下の3万1516社を「高リスク層」、49%超の4761社を「低リスク層」としている。
一見すると逆に思えるが、理由がある。外国資本が49%超の法人は、投資委員会(BOI)や東部経済回廊(EEC)の枠組みで正規の投資許可を得ているケースが大半だ。一方、49%以下に抑えられた法人は、タイ人を名義上の株主に立てる「ノミニー」の疑いが強いとされる。高リスク層3万1516社の内訳は、非上場法人3万633社、上場企業737社、パートナーシップ146社だった。
保有規模を見ると、高リスク層のうち1筆のみの保有が2万537件、2〜5筆が8068件、6〜10筆が1511件、11筆以上が1400件。面積では1ライ(1600平方メートル)以下が2万1106件と大多数を占める。小口の物件を、多数の法人で分散して抱える構図が浮かぶ。
コンドミニアムの49%規制をすり抜ける手口
タイの法律では、外国人によるコンドミニアム保有は建物の総専有面積の49%までに制限されている。しかし当局は、タイ国籍者をノミニーとして立て、残る51%分まで買い集める脱法行為の存在を確認したとしている。これらの物件は賃貸や転売の目的で運用されているとみられる。
DBDのプーンポン・ナイナパコーン局長は「外国人による違法な不動産保有が確認された場合、土地局は法的権限に基づいて180日以内の売却を強制し、代金を返還させる」と明言した。ノミニー違反の罰則は、外国人事業法に基づき禁錮3年以下、または10万〜100万バーツの罰金、あるいはその併科となる。
DBDは今後、コンドミニアム保有データの精査を進めるとともに、高リスク層3万1516社に対する掘り下げ調査を拡大する方針だ。タイの観光地で外国人向けに貸し出されているヴィラやコンドミニアムの何割が、この網にかかるのかは今のところ分からない。