タイを襲う記録的な大雨の影響が、同国の基幹産業である自動車製造の現場にも及んでいる。タイ語各紙によると、トヨタ自動車はサムットプラカン県のサムロン工場、チャチェンサオ県のバーンポー工場とゲートウェイ工場を含む直営3工場、さらに合弁のトヨタ・オートワークス工場1カ所、合計4工場で一時操業を停止した。これらの工場では主力ピックアップトラック「ハイラックス・レボ」「フォーチュナー」や、乗用車の「ヤリス」「ヤリス・アティブ」「カローラクロス」などを生産している。
9月29日から30日にかけてタイ各地を襲った豪雨は、3日間の累計で320ミリに達した地域もあったとされる。今回の工場停止は、工場敷地そのものが浸水したことが直接の原因ではない点が特徴的だ。
工場は無事でも、人と部品が届かない
タイ語各紙によると、操業停止の主因は従業員の出勤困難と部品サプライチェーンの寸断にある。多くの従業員が暮らす住宅地が冠水し、通勤そのものが困難になったほか、チャチェンサオ県のアマタシティ工業団地に入居する部品メーカーも被災し、部材の生産・納入が滞る事態となった。トヨタの広報担当者は「わずかな部品や電子機器が欠けるだけでも、完成車の組み立てができなくなる」と述べ、サプライチェーン全体への影響の大きさを説明している。
4工場の操業停止は10月1日から2日(金曜日)までの予定で、トヨタはサプライヤーと連携しながら翌週中の操業再開を目指しているという。タイ工業連盟によれば、各社は休日と稼働日を柔軟に入れ替えるスケジュール管理を導入し、日系企業で一般的とされる年間約250日という標準稼働日数の枠組みを活用しながら、生産への影響を最小限に抑える工夫をしているという。
東南アジア最大級の生産拠点、洪水への耐性が課題に
タイは東南アジアにおける自動車生産の一大拠点であり、チャチェンサオ県やチョンブリー県など東部臨海工業地帯には日系メーカーの工場が集積している。今回のような広域的な洪水が繰り返されれば、工場そのものが無事でも、従業員の通勤やサプライチェーンという「人とモノの流れ」が寸断され、生産に影響が及ぶ構図が改めて浮き彫りになった形だ。
気象当局は今月5日以降、再びタイ全土で雨量が増える可能性を指摘しており、自動車各社は今後も天候次第で柔軟な生産調整を迫られそうだ。