中国の大型連休「国慶節」の渡航先ランキングで、タイの首都バンコクが人気目的地の上位に食い込んだ。背景にあるのは、中国人観光客の間で急速に進む「日本離れ」だ。
延べ21億3000万人が移動、タイ行きが急増
今年の中国の国慶節7連休中、延べ21億3000万人分の移動が見込まれるとされ、国際線の予約数は前年同期比で22.5%増加した。中でもタイ、マレーシア、ベトナム、ラオスといった東南アジア方面へのフライト予約は前年比20%増と大きく伸びている。
旅行予約サイトのデータによれば、現在の渡航先人気ランキング上位3都市は、バンコク、クアラルンプール、ソウルの順。これにシンガポール、バリ、ホーチミンなどが続き、東南アジア勢が軒並み上位に名を連ねる結果となった。
日本訪問者数は半減、東京・大阪はトップ10圏外に
一方で日本への関心は大きく後退している。2026年上半期の中国人訪日者数は前年同期比で56.4%減少した。中国政府が昨年11月以降、日本への渡航を自粛するよう国民に呼びかけたことが背景にあるとみられ、これは日本の政治家による台湾防衛をめぐる発言に対する反発が引き金になったとされる。
その影響は数字にはっきりと表れている。前年の人気渡航先ランキングで3位だった東京、8位だった大阪は、いずれも今年のトップ10から姿を消した。
タイの観光業界関係者はこの状況を歓迎する。バンコク市内の旅行代理店スタッフは「中国人観光客の予約が明らかに増えている。年末にかけてはさらに伸びるのではないか」と期待を寄せる。
タイ観光業にとって追い風
タイ政府観光庁(TAT)にとっても、この流れは大きな追い風となる。バンコクは近年、ショッピングや食文化、アクセスの良さを武器に中国人観光客の支持を集めてきたが、今回のデータは日本からタイへの「旅行先シフト」がより鮮明になっていることを裏付けている。
もっとも、バンコクでは現在、大雨による洪水被害も報告されており、観光業界関係者の間では「インフラ復旧と観光客受け入れ態勢の両立が今後の課題になる」との声も上がっている。今回のデータは中国の旅行会社やJNTO(日本政府観光局)、中国民間航空局などの統計に基づくもので、今後の推移が注目される。