タイ中部ロッブリー県にあるパーサックチョラシッド・ダムの貯水量が、通常の運用容量を超えて106.8%に達したことが分かった。ダム管理当局は9月30日、放流量を段階的に引き上げる方針を発表した。下流のラマ6世ダム周辺やロッブリー県パッタナーニコム郡の住民に対し、厳重な警戒が呼びかけられている。
貯水量9億3078万立方メートル
9月30日時点でのダムの貯水量は9億3078万立方メートルで、通常容量の106.80%に相当する。流入量は毎秒550.27立方メートルに達している一方、放流量は毎秒115.08立方メートルにとどまっており、貯水量はなお増加を続けている状況だ。
この状況を受け、当局は放流量を段階的に引き上げる計画を発表した。従来は毎秒25立方メートル程度だった放流量を、9月30日の時点でまず毎秒115立方メートルまで引き上げ、10月2日までに毎秒400立方メートルへと大幅に拡大する方針だ。
「10月3日から6日にかけて大雨」の予報
地元の知事、ウィーラポン・リッティロート氏は、今回の大幅な放流量引き上げの理由について、「気象局が10月3日から6日にかけての大雨を予報しており、これがさらに貯水池へ流れ込むことになる」と説明した。今後の大雨に備え、あらかじめ貯水池の容量に余裕を持たせる狙いがあるとみられる。
放流量の増加は、下流域の水位上昇に直結する。特に警戒が呼びかけられているのは、ラマ6世ダム周辺とロッブリー県パッタナーニコム郡だ。当局は24時間態勢で気象状況と流入量を監視し、住民への通知を随時行う考えを示している。
「治水」と「次の一手」のせめぎ合い
タイ中部では現在、複数の大型ダムが同時に高い貯水率で推移しており、一つのダムの放流判断が下流の他地域の水害リスクに連鎖的に影響しかねない状況が続いている。パーサックダムの今回の対応は、目先の増水リスクを抑えつつ、数日後に迫る新たな大雨に備えるという、綱渡りの判断といえる。
ロッブリー県内では、ダム下流の農地や住宅地を中心に、放流量の急増に伴う浸水への備えが急がれている。今回の措置が奏功するかどうかは、予報通り10月上旬に降る雨の量次第という、天候頼みの側面も残る。