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タイ・ピサヌロークで銃2255丁が台帳から消え、300人が知らぬ間に購入許可の名義人に

自分が銃を買った覚えはない。なのに役所の書類には、自分の名前と署名が並んでいる。タイ北部ピサヌローク県で、そんな住民が約300人見つかった。

8月22日、ピサヌローク県庁で会見に臨んだのは、地方行政局のウィルン・シティウォン副局長と、キッティサック・トロンシリー知事だ。明らかにされた数字は生々しい。ムアンピサヌローク郡だけで、2255丁の銃が台帳から所在不明になっている。全国最多の数字だという。

3号許可と4号許可の、埋まらない差

タイの銃器管理は、購入許可(3号)と所持許可(4号)の二段構えになっている。3号で買い、4号で登録して初めて合法的に持てる仕組みだ。

今回問題になったのは、この二つの数の食い違いである。3号で購入許可が下りているのに、4号での登録が確認できない銃が大量にあった。仏暦2563年から2569年、つまり2020年から2026年にかけての6年分で、その差が2255丁に膨らんだ。

さらに悪いことに、購入許可の名義には住民や地域の有力者およそ300人の名前が使われていた。当局の説明によれば、その多くは「そんな話は知らないし、銃を買うつもりもなかった」。書類と署名が、本人の同意なしに複写された疑いが持たれている。

「二つの運河の町から違法銃を洗い流す」

地方行政局が展開した作戦の名は、そのまま「二つの運河の町から違法銃を洗い流す」。パークトーク地区とギアオガム地区の3カ所に一斉に入り、プラトゥーピー近くの銃砲店なども対象となった。

当局は証拠の収集を進めており、関係者全員に捜査を広げる方針を示している。名義を貸した形になっている住民が被害者なのか、それとも承知のうえだったのか。その線引きも、これからの作業だ。

行き先の分からない2255丁

この事件の不気味さは、消えた銃が「どこにもない」わけではない点にある。台帳から消えただけで、銃そのものは実在する。誰かの手元にあるのだ。

タイは東南アジアでも民間銃器の保有率が高い国として知られる。合法的な登録銃だけで数百万丁があるとされ、その裏側に相当数の未登録銃が流通していると長く指摘されてきた。今回の2255丁は、その「裏側」がどう作られるかを具体的に示した形になる。

役所の判子と、他人の署名と、記録の空白。それだけあれば、銃は静かに世の中へ流れ出す。ピサヌロークは日本人にはあまりなじみのない県だが、バンコクから北へ約380キロ、スコータイ遺跡への玄関口として知られる落ち着いた地方都市である。

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