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タイ東部サケーオ県、洪水の濁流でワニ4匹が脱走 住民は木に登り一夜を明かす

体長2メートル超のワニが、濁流に乗って住宅街に現れた。タイ東部サケーオ県カオチャカン郡で25日夜、養殖池の柵が豪雨による増水で押し流され、ワニ4匹が一斉に脱走する騒ぎがあった。

現場は同県を流れる川沿いの集落。地元漁業関係者によると、脱走したワニはいずれも体長2メートルを超える成体で、養殖用に飼育されていた個体だという。

「庭に浮かぶ黒い影を見た」

異変に気づいたのは、養殖池近くに住む主婦だった。「暗い庭に黒くて長いものが浮いているのに気づいて、懐中電灯を当てたら目が光った。すぐに家族を叩き起こして2階に避難させた」と振り返る。

近隣住民の男性(52)も恐怖の一夜を語る。「うちの村でワニなんて聞いたことがなかった。水かさはひざ上まであって、逃げ場がない。仕方なく庭のマンゴーの木によじ登って朝まで過ごした人もいる」。SNSには「怖くて眠れなかった」「子どもを2階に上げてドアを全部閉めた」「消防に電話しても回線がパンク状態だった」といった投稿が相次いだ。

県当局が捕獲チームを派遣

連絡を受けた郡当局と漁業事務所は26日朝、専門の捕獲チームを現場に派遣した。担当者は取材に対し「水位が高く視界も悪いため、無理な追跡は二次被害を招く。まずは住民に水辺に近づかないよう呼びかけている」と説明した。

県知事も現地入りし、「必要な機材を投入し、住民が安心できるまで捜索を続ける」と述べ、県内の類似養殖施設に柵の緊急点検を指示した。26日午後の時点で4匹のうち1匹の目撃情報が寄せられているが、いずれも未確保という。

SNSでも拡散、「川に近づかないで」

現場の様子を撮影した動画はSNSで急速に拡散し、「うちの村にもいるかもしれないと思うと夜も眠れない」「行政はもっと早く注意喚起を出すべきだった」といった投稿が相次いだ。一方で「大雨で被災した上にワニまで出るとは、今年の雨季は本当に厳しい」と嘆く声や、「せめて子どもだけは水辺に近づけないようにしよう」と呼びかける地元グループの投稿も見られた。

県漁業事務所の担当者は「増水時はワニだけでなく、蛇や有毒生物も生活圏に入り込みやすい。水位が下がるまでは屋外での作業や夜間の外出を控えてほしい」と重ねて注意を促した。地元テレビ局の取材に応じた男性は「これまでは川の氾濫だけを心配していればよかったが、今後は水の中に何がいるか分からない恐怖と付き合わなければならない」と苦笑いを浮かべた。

タイ東部から中部にかけては大雨が続き、河川の増水で養殖池や動物園から動物が流出する被害が相次いでいる。住民からは「洪水のたびにこんな思いをするなら、住宅地の近くでの養殖は規制してほしい」との声も上がる。濁流に潜むのはヘビや虫だけではない、というのが今シーズンの教訓になりそうだ。

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