タイを代表する輸出品であるジャスミン米(ホムマリ米)の価格が急騰し、精米業者や輸出業者の経営を圧迫している。タイ精米業者協会などによると、2026/27年度(2569/70年)産の主産地では、もみ(生籾)のジャスミン米価格が急激に上昇しており、輸出価格(FOB)は1トン当たり2000米ドル(約30万円、1ドル=約150円で換算)に達した。前年のジャスミン米の買い取り価格は1トン当たり1万4000バーツ(約6万6000円、1バーツ=約4.7円で換算)を超えており、2年前の約1万2000バーツ(約5万6000円)からも大きく値上がりしている。
なぜ価格が上がっているのか
背景には複数の要因が重なっている。東部プラチンブリでは洪水で水田の約90%(被害面積1万2479ライ、約1997ヘクタール)が被害を受け、北東部では2月から8月にかけて降雨が不規則になり、マハーサーラカームの一部地域では干ばつも起きた。一方でウボンラーチャターニーでは生産量が約180万トンに達し、前年比約10万トン増える見通しとなっている。農家は価格動向を見て作付けを変えており、ピッチャヌローク、ナコンサワン、ロッブリーなどではジャスミン米105の作付けが約4割増えたとされる。
精米業者の間では、もみの調達コストの上昇分を販売価格へ十分に転嫁できず、「サンドイッチ」のように板挟みになっているとの声が出ている。事前契約の価格が現在の調達コストを下回る業者には赤字のリスクもある。農業協同組合による買い付け競争も価格を押し上げており、市場価格より1トン当たり約500バーツ(約2350円)高い価格を提示する組合もあるが、保管能力が1万〜2万トン程度にとどまる一方で買い付け規模が10万トンを超えるケースもあるという。
輸出競争と今後の見通し
タイ米輸出協会は、ベトナムが高級品種「ST25」「ST26」などで競争力を強化し、カンボジアも品質の近い米を低価格で供給していることへの警戒を強めている。カンボジアが年間5万トンずつ輸出を増やせば、4年間で計20万トンの増加となり、タイのシェアを圧迫する可能性があるとの指摘もある。タイ精米業者協会のニポン副会長は、農家の収入増と業者のコスト負担増が同時に進んでいる現状を指摘した。収穫が本格化する11月中旬以降、1ライ当たりの単収を見極めることが、農家の所得・精米業者のコスト・輸出価格のバランスを取る上での今後の焦点になるとみられている。