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高給を謳うネット広告に釣られ海外で強制労働 コールセンター詐欺の被害者76人が帰国

「月給1万8000〜2万5000バーツ(約8万5000円〜約11万8000円)、宿泊・食事付き」。そんな甘い誘い文句のネット広告に引き寄せられた末路は、監禁同然の詐欺拠点での強制労働だった。

タイ北部チェンライ県チェンコン郡とラオス・ボーケオ県フアイサイ市を結ぶ「タイ・ラオス友好橋第4メコン橋」で、コールセンター詐欺グループの被害者とされるタイ人76人が保護され、帰国を果たした。

高収入求人の裏に待っていた強制労働

タイ当局によると、被害者の多くは「高収入・好待遇」をうたうオンライン求人広告を信じてラオスへ渡航したが、実際には電話やSNSを使った通信詐欺、いわゆる「コールセンター詐欺」に従事させられていたという。

帰国した男性の1人は国境付近で取材に応じ、「最初は本当に稼げる仕事だと思っていた。でもパスポートを取り上げられ、逃げられない状況に追い込まれた」と声を落とした。

タイ政府の国家人身売買対策メカニズム(NRM)は、帰国した76人全員のスクリーニングを実施。被害者としての保護対象者と、詐欺への加担が疑われる者とを選別する作業を進めている。

国際指名手配犯8人を逮捕

今回の送還にあわせて、タイ当局は国際手配を受けていた8人の身柄を拘束し、詐欺関連の容疑で立件する方針を明らかにした。押収品にはパソコンや携帯電話など、詐欺に使用されたとみられる機材も含まれている。

タイ国境警備当局の担当者は「これは氷山の一角に過ぎない。メコン川流域には今も多くの詐欺拠点が存在するとみられ、国際連携での摘発を強化する」と述べた。

SNS上では帰国した被害者への同情とともに、警戒を呼びかける声が広がった。

・「『高収入』『海外勤務』の甘い言葉には絶対に気をつけて」(出所:Facebook)

・「パスポートを取られた時点で逃げるべきだった、なんて簡単に言えない。本当に怖い思いをしたはず」(出所:X)

・「政府はもっと求人サイトの審査を厳しくしてほしい」(出所:Facebook)

後を絶たない「好待遇求人」の罠

タイ国内では近年、SNSやメッセージアプリを通じて「海外の好待遇求人」を装い、若者を詐欺拠点へ勧誘する事例が後を絶たない。専門家は「経済的に苦しい層や、仕事を探す若者が標的にされやすい。政府機関だけでなく、学校や地域コミュニティでの啓発も重要だ」と指摘している。帰国した被害者たちは今後、心身のケアを受けながら社会復帰を目指すことになる。

国境地点では帰国者を出迎えた家族の姿も見られた。息子の帰りを待っていたという母親は「連絡が取れなくなってから生きた心地がしなかった。無事に戻ってきてくれただけで十分」と涙ぐみながら語った。タイ政府は今後、帰国者に対する職業訓練や生活再建支援のプログラムを提供するとともに、ラオス側当局との情報共有をさらに密にし、メコン川流域に点在する詐欺拠点の摘発を加速させる方針を示している。

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