
コールセンター型の特殊詐欺と麻薬密輸を同時に手がけていたベトナム人グループの拠点を、タイの警察が急襲した。押収現場では、瓶詰めのタマリンドペーストの中に覚醒剤の結晶(アイス)を隠して密輸していたという手口が明らかになり、捜査員も驚きを隠せなかったという。
捜査関係者によると、グループはタイ国内を拠点に、電話やSNSを使って被害者から金をだまし取る特殊詐欺を展開する一方、資金源の一つとして麻薬密輸にも関与していたとみられる。摘発時には現場からタイの金塊換算で40バーツ相当(市場価格にして数百万バーツ規模)の金製品が押収され、詐欺と薬物取引で得た資金が金という「足のつきにくい資産」に変換されていた実態が浮かび上がった。
捜査員の一人は「一見ただの食品にしか見えないタマリンドペーストの瓶を開けたら、中から薬物が出てきて正直驚いた。手口は年々巧妙になっている」といった趣旨の話をしている。当局幹部は「特殊詐欺、薬物、資金洗浄が一体化した組織犯罪であり、単なる詐欺事件として片づけられない。関係先の国とも連携し、資金の流れを徹底的に追う」と強調した。
タイを拠点化する越境詐欺網
タイでは近年、隣国からの越境組織が国内を拠点に詐欺や薬物取引を展開するケースが後を絶たない。特殊詐欺対策センター(ACSC)の統計でも、オンライン詐欺による被害額は毎月数億バーツ規模に上っており、今回の事件はその資金がどのように「洗浄」されているかを示す一例となった。
SNS上では「食品を装う手口はさすがに悪質」「タイが犯罪の中継地点にされている」「被害に遭う人が減らないのも当然だ」といった声が上がっている。警察は関係者の身柄をさらに追及するとともに、密輸ルートの解明を急いでいる。日用品に紛れ込む形で運ばれる薬物と、電話一本で人の財産を奪う詐欺――その両方に手を染めていたグループの摘発は、タイの越境犯罪対策における新たな一歩となった。