朝の通勤ラッシュを直撃した一台の10輪トラックが、次々と車をなぎ倒していった。バンコク都トンブリー区サムレーの「タクシン交差点」入口側の陸橋で2026年10月26日午前6時40分ごろ、大型トラックが乗用車7台とタクシー1台の合計8台に衝突する事故が起きた。
事故当時は通勤時間帯で、周辺の交通が広範囲にわたって滞った。乗用車やタクシーに乗っていた2人が負傷し、病院に搬送されて治療を受けている。所轄のサムレー警察署によると、10輪トラックの運転手は呼気中のアルコール濃度が223ミリグラム%(基準値の数倍に相当する水準)に達していたという。運転手の氏名や年齢は明らかにされていない。
警察幹部が現場で呼びかけ
事故後、警察幹部のニティトーン警察少将が現場を訪れ、負傷者らと面会するとともに、事故車両と被害車両の状況を確認した。トラックの附属装置や車両状態は検査に回されている。警察は、運送業者が飲酒運転を防ぐための管理体制を整えていたかどうかも調べるよう捜査担当者に指示した。ニティトーン少将は「เมาแล้วขับ(飲んだら運転するな)」と改めて市民に呼びかけている。
違反があれば厳正対応
警察は、運転手本人はもとより、運送会社の管理責任についても法に基づいて厳正に対処する方針を示している。バンコク都内では大型車両による飲酒運転事故が後を絶たず、通勤時間帯の主要交差点での事故は交通網全体への影響も大きい。今回のケースでも、8台もの車両が巻き込まれたにもかかわらず負傷者が2人にとどまったのは不幸中の幸いだったといえ、警察は運送業界全体に向けて、出発前のアルコールチェックの徹底を改めて求めている。
タクシン交差点周辺の交通事情
現場のタクシン交差点は、トンブリー側とバンコク中心部を結ぶ主要な陸橋の一つで、朝夕の通勤時間帯には常に車列が連なる交通の要所だ。10輪トラックのような大型車両が事故を起こすと、車線をふさぐだけでなく、後続車両の迂回や渋滞が広範囲に及びやすい。今回も事故発生直後から周辺道路が長時間にわたって混雑し、通勤・通学の足に影響が出た。
タイでは運送業者に対して、ドライバーの飲酒検査や休憩時間の管理を義務づける規定があるものの、実際の運用は現場の管理体制に委ねられている部分が大きい。今回のように基準値を大幅に超えるアルコールが検出された場合、運転手個人の責任だけでなく、出発前の点呼や検査を怠った運送会社側の管理責任も問われる可能性がある。タイで車を運転する在住者にとっても、大型車両が多い陸橋や高速道路の入り口付近では、追突や側面衝突のリスクを避けるため、車間距離を広めに取る運転を心がけたい。