タイ中部プラチュワップキーリーカン県ホアヒン郡タップタイ地区の宿泊施設で、11月4日、英国籍の男(27)が不法滞在の疑いで拘束された。入国管理局によると、男はビザなし滞在が許される期限の2026年6月16日を過ぎてもタイに残り続け、不法滞在は140日に達していた。
男の名はティージェイ・ハゲット。すでに帰国した友人のパスポートの写真ページを撮影した画像をバイクレンタル店に提示し、別人になりすましてバイクを借りていたという。同じ手口でホテルのチェックインや車のレンタルも繰り返し、自分の不法滞在を隠していた。
レンタル店員の違和感から発覚
発覚のきっかけは、バイクレンタル店の従業員が提示されたパスポートの写真に違和感を覚えたことだった。警察が全国データベースを照会すると、そのパスポートの持ち主本人はすでに出国済みと判明。地域のレンタル業者に注意を呼びかけたうえで、直近に借りたバイクのGPS追跡で男の居場所を特定し、ホアヒンの滞在先で本物のパスポートとともに身柄を確保した。
「タイが好きで帰りたくなかった」
男は取り調べに対し、タイでの暮らしが気に入り帰りたくなかった、という趣旨の供述をしたと報じられている。捜査はプラチュワップキーリーカン入国管理課の指揮で行われ、タイ全土で外国人の長期不法滞在や身分詐称への取り締まりが強化されている流れの一つとされる。
入国管理局は今後も、宿泊施設やレンタル業者と連携して不審な身分証の提示に目を配る方針を示している。パスポートの画像を他人に渡す行為が思わぬ形で悪用されるケースがある点は、ホアヒンなどのリゾート地に長期滞在する旅行者にとっても教訓となりそうだ。
強化される取り締まりの流れ
プラチュワップキーリーカン入国管理課によれば、今回の作業は地域のレンタル業者への協力依頼と、直前に借りたバイクの位置情報をたどる地道な捜査の積み重ねで実現した。担当課は、ビザなし入国制度を悪用して長期間不法に滞在する外国人を特定するため、宿泊施設やレンタル業者からの通報を今後も重視していく姿勢を示している。タイでは近年、観光ビザや査証免除で入国した外国人のオーバーステイ事案が相次いで報じられており、入国管理局は全国の観光地で同様の摘発を強化する方針を繰り返し示してきた。
ホアヒンやパタヤなど外国人が長期滞在しやすいリゾート地では、宿泊先やレンタル業者が提示された身分証の写しをそのまま信用せず、原本確認を徹底する動きも広がっているという。身分を証明する書類の管理は、自分自身を守るためにも軽く扱えない問題であることを、今回の事案は改めて示した形だ。