国際信用格付け会社のS&Pグローバル・レーティングは11月4日、タイの長期信用格付けを「BBB+」に継続し、見通し(アウトルック)も「安定的」とする評価を発表した。あわせて、2026年のタイ経済成長率を2.3%と予測した。タイに投資や事業展開を行う日本企業にとって、国の信用力に対する国際的な評価が維持されたことは一つの安心材料となる。
BBB+は投資適格級の格付けで、タイ国債の信用力が相対的に安定していることを示す。S&Pは今回、格付け・見通しのいずれも前回から変更せず、タイの財政運営や経済のファンダメンタルズが一定の安定性を保っているとの見方を示した。2026年の成長率予測2.3%は、世界的な金利動向や貿易環境の不確実性が続く中でも、タイ経済が緩やかな拡大を続けるとの見立てに基づいている。
対外的な評価が意味すること
国の信用格付けは、政府や企業が海外で資金調達する際の金利水準に影響する指標の一つで、格付けが安定して維持されることは、海外からの投資を呼び込みやすくする効果がある。日系企業がタイで新規投資や事業拡大を計画する際、こうした国際的な信用評価は進出判断の参考材料の一つとなる。タイ政府としても、今回の格付け維持を財政運営の健全性を示す材料として強調する可能性がある。
他の国際機関の評価との比較も注目点
タイの格付けはこれまでも複数回にわたりBBB+で維持されており、今回の発表は大きなサプライズではないとの見方もある。一方で、タイ以外のASEAN諸国の格付け動向や、米国の金利政策、中国経済の減速懸念なども、今後のタイの対外評価に影響を与える可能性がある。S&Pが示した2.3%という成長率予測は、他の国際機関の予測と比べて特に高いわけではなく、タイ経済が力強い回復というよりは緩やかな成長軌道にあることを示している。今後、世界経済の動向や国内の政治情勢が格付けや成長率見通しにどのように影響するかが注目される。