タイの物価上昇が加速している。タイ商務省が10月6日に発表した9月の消費者物価指数(CPI)は102.93で、前年同月比2.82%上昇した。前月比でも0.25%上がった。国内の燃料価格の高止まりに加え、総菜などの加工食品、卵や鶏肉、野菜といった生鮮食品の値上がりが押し上げた。
経済紙プラチャーチャートトゥラキットによると、調査対象464品目のうち190品目が値上がりし、値下がりは138品目、横ばいは136品目だった。食品・非アルコール飲料は前月比0.18%上昇し、コメ、卵、鶏肉、豚肉が目立った。食品以外は0.3%上昇し、燃料のほか家賃や海外旅行費用が上がった。生鮮食品とエネルギーを除くコア指数は前年同月比1.5%の上昇にとどまった。
エネルギーが上昇分の6割超、洪水の影響も
商務省貿易政策戦略局(TPSO)のナンタポン局長は「エネルギーが主な押し上げ要因だ」と述べ、上昇率への寄与は約1.85ポイントで全体の6割を超えると説明した。中東情勢の緊迫で原油価格が高止まりしている。洪水の影響は約0.1ポイントで、葉物野菜など生育の早い作物を中心に地域差があるという。10月は菜食週間(キンジェー)で野菜の需要が増え、一部の食品がさらに上がる可能性もある。同局は2026年通年の見通しを従来の1.5〜2.5%から1.8〜2.2%に絞り込んだ。1〜9月の平均は1.54%だった。
燃料価格の先行きも気がかりだ。経済紙タンセッタキットによると、国内の燃料価格を抑えてきた石油燃料基金の累積赤字は10月4日時点で989億4200万バーツ(約4650億円)に達し、エネルギー省筋は1000億バーツ(約4700億円)を超えたとしている。同基金は補助を段階的に縮小する「出口」策を検討している。
円安も重なる、1万円は約2100バーツ
為替の面でも日本人には逆風が続く。クルンテープトゥラキットによると、7日朝のバーツ相場は1ドル=33.62バーツで横ばいだった一方、円は1ドル=158円台まで下落した。1バーツは約4.7円で、1万円は約2100バーツにしかならない計算だ。タイ国内の物価上昇と円安が重なり、旅行者や円建て収入で暮らす在住者の実質的な負担は増している。
旅行者は、屋台や食堂の価格だけでなく、ホテルや配車アプリの料金も以前より上がっていると考えておいたほうがよい。両替は空港より市内の両替所のほうがレートが有利な場合が多く、カードやQR決済との使い分けで手数料を抑えたい。在住者は、電気代など一部の料金は今後下がる見込みとされる一方、燃料補助の縮小が実施されれば交通費や物流費を通じて物価に響く可能性がある点に注意したい。