
タイを代表する航空会社タイ国際航空(THAI)の株価が急落している。2026年9月25日から10月2日までの1週間で8.06%下落し、1株6.15バーツ(約29円)から5.70バーツ(約27円)まで値を下げた。年初来では7.10バーツ(約33円)から5.70バーツ(約27円)まで17.99%の下落となっており、10月5日の終値は5.65バーツ(約27円)だった。
株価急落の直接の引き金は、9月末からスワンナプーム空港で発生した大規模な洪水被害による運航混乱だ。多くの便が遅延・欠航し、約1万個に上る乗客の荷物が空港に取り残される事態となった。
CEOの職務停止と調査委員会の設置
タイ国際航空の取締役会は10月2日に特別会議を開き、チャイ・アヤムシリ最高経営責任者(CEO)の職務を調査期間中停止すると決定した。代理CEOには取締役のサムリット・サムニアン氏が就任した。
同時に、タッチャイ・ピッタニーラブット副警察総監を委員長とする「事実調査・危機管理審査委員会」が設置され、30日以内に運航混乱の根本原因を究明する方針が示された。調査対象には、グラウンドハンドリング業務を担う外注企業ウィングスパン・サービスの体制や、人員配置の適切性、法的責任の有無などが含まれる。
前CEOは疑惑を否定
職務停止となったチャイ前CEOは自身のソーシャルメディアで「41年の職務経歴でコンプライアンス違反はない」と反論し、調査には協力する姿勢を示した。同社は10月6日時点では荷物滞留がほぼ解消し、国内123便体制を含め運航が100%に復帰したと説明しているが、株式市場では経営責任の所在が明確になるまで不透明感が残るとの見方が強い。
タイ国際航空は国の持株会社を通じた実質国有企業的な位置づけでもあり、今回の騒動は同社の経営再建計画全体への信頼にも影響しかねないとの指摘が出ている。同社は2020年代前半に経営破綻からの再生手続きを経て再上場を果たした経緯があり、投資家の間では「再建後わずか数年でまたガバナンス問題が起きた」との厳しい声も出ている。
個人投資家はどう見るべきか
タイ国際航空株は個人投資家にも人気の銘柄の一つだが、今回のような経営陣交代や調査委員会の設置が続く局面では、短期的な値動きが大きくなりやすい。調査結果が発表される30日後のタイミングで、追加の経営責任の所在が明らかになる可能性もあり、保有・新規購入を検討する場合はニュースの続報を注視する必要がある。
タイに拠点を置く日系企業や旅行会社の間でも、タイ国際航空の経営混乱が運航の安定性にどこまで影響するか、注視する動きが出ている。