タイ投資委員会(BOI)への日本企業からの投資申請が、2025年に大きく増えたことが分かった。申請件数は302件、申請額は合計で約1兆1370億バーツ(約5兆3400億円)に達し、前年の2倍以上という高い伸びとなった。2026年上半期も123件、約3279億バーツ(約1兆5400億円)の申請があり、日本企業によるタイへの投資意欲の強さがうかがえる内容だ。
分野別では、自動車・部品が約283億バーツ(約1330億円、前年比57%増)、電子・電気機器が約194億バーツ(約912億円、同76%増)、農業・食品が約41億バーツ(約193億円、同54%増)、物流・サービスが約14.7億バーツ(約69億円、前年の2倍以上)と、幅広い分野で申請額が伸びている。既存拠点の高度化や、EV・高機能電子部品など付加価値の高い分野への投資移行が特徴とされている。
自動車大手が相次ぎ大型投資を発表
個別企業の動きとしては、いすゞが約150億バーツ(約705億円)を投じてピックアップトラック生産拠点の自動化・ロボット化とクリーンエネルギー対応を進める計画が承認された。マツダも、タイ合弁のオートアライアンス・タイランドで新型マイルドハイブリッド車の生産に向けた工場改修に約74億バーツ(約348億円)を投じる。三菱自動車は2030年までにEV関連技術対応などに160億バーツ(約752億円)を追加投資し、新型パジェロの生産拠点としても活用する方針だ。ホンダも2029年までに新型車2モデルのライン増設に120億バーツ(約564億円)を追加投資する計画で、タイは日本以外で最多となる8モデルを生産する拠点になっている。
部品・電子・食品分野でも投資相次ぐ
自動車部品大手のアステモはEV駆動用インバーター(PCU)生産に約35億バーツ(約165億円)、精密部品のミネベアはロブリー県での航空機向け精密部品工場とアユタヤ県の研究開発センターに合計約26億バーツ(約122億円)を投じる。東洋水産系のトヨ・サイガンは茶やコーヒーなど植物由来飲料の生産に約24.7億バーツ(約116億円)、岩谷産業はCCU技術を使った液化バイオCO2生産に約8.4億バーツ(約39億円)を投資する。村田製作所の高機能積層セラミックコンデンサ生産や、パナソニックのアユタヤ拠点によるASEAN初のMEGTRON基板材料生産拠点なども進んでいる。
タイに進出する日本企業の投資が、単純な生産拠点の拡張から、EVや高付加価値の電子部品、研究開発機能の強化へと質的に変化していることが、2025年から2026年にかけてのBOI申請データから読み取れる。タイ株や日系企業関連の投資信託に関心がある日本の個人投資家にとっても、こうした投資動向は今後の業績を見通すうえで参考になりそうだ。