トヨタ自動車のタイ現地法人は、サムローン、バーンポー、ゲートウェイの3工場について、10月5日から10日までの5日間、生産を一時停止すると発表した。サムットプラカーン、チャチョンサオ、チョンブリ各県で続く大規模な洪水により、部品メーカーからの供給網に影響が出ていることが理由だ。
タイはトヨタにとって東南アジア有数の生産拠点で、国内販売向けに加え周辺国への輸出拠点としての役割も担っている。会社側は「従業員の安全確保を最優先としながら、部品メーカーと緊密に連携して供給網の早期回復を急いでいる」とコメントしている。
品質基準は維持、納期は個別案内
トヨタは生産計画の調整について「品質検査の基準を緩めることはない」と強調したうえで、顧客への納車時期に影響が出る場合は、販売店を通じて改めて新しい納期を案内するとしている。現時点で大規模な受注キャンセルや価格への転嫁は発表されていない。
洪水が揺さぶる自動車産業のサプライチェーン
タイの自動車産業は日系メーカーを中心とする裾野の広い部品サプライチェーンの上に成り立っており、一部地域の浸水が複数メーカーの生産に波及しやすい構造を持つ。今回のトヨタの対応は、洪水という自然災害が製造業の現場に直接影響を及ぼしていることを改めて示した形で、他の自動車メーカーの対応にも注目が集まっている。
タイ国内には日系自動車メーカーの工場が集積する工業団地が複数あり、浸水被害が長引けば部品の調達網全体に影響が広がる可能性がある。業界団体は洪水の収束状況を注視しつつ、サプライヤー各社への支援策についても検討を進めているという。トヨタの今回の対応は、今後の生産正常化のペースを見極める上での一つの指標になりそうだ。